コラム

(45) Wealth of world's 10 richest men doubled in pandemic

 マーティ・キーナート


先月読んだこの記事から、私は未だ長引くコロナウィルスのパンデミックの最中、多くの大損害が世界中で起こっているのにも関わらず一握りの特権階級の人々だけはその富を莫大に増やし続けているという事実が非常に気になりました。

"Wealth of world's 10 richest men doubled in pandemic”
「世界の最も金持ちの男達10人の富は、パンデミックで倍増している」

2022年1月17日発のこの記事によると、悲しいことに世界の富の格差は広がるばかりであり、我々が将来もっと平穏な世界を望むのであれば、この貧富の差の問題を解決するべきだと訴えています。
https://www.bbc.com/news/business-60015294

日本においても限られた人々と会社は、パンデミックでも収益を上げ続けています。
けれどもこのような幸運な人々はこの思いがけない利益をどのように扱っているのでしょうか?
米国においては、このような想定外の利益をスポーツや音楽という私の最も愛する分野を助けるために使う億万長者は大勢いるようです。これは非常に嬉しい事です。

例えば、テキサスにあるサザンメソディスト大学(SMU) では、1958年の卒業生でSMUのフットボールプレイヤーでもあったゲーリー・ウエーバ氏が、先月この大学史上最高額の寄附金を贈った事が話題を呼びました。ウェーバー氏は、この大学のフットボールスタジアムの改修費としてかかる約116億円のうちの約58億円を個人で寄附したのです。

また、私の母校スタンフォード大学では、2013年ビング・コンサートホールが完成しましたが、これは同窓生であるピーター・ビングとヘレン・ビングの夫妻からの58億円もの寄附金によって建てられたものです。このビング・コンサートホールは、世界でも最も立派な大学のコンサートホールとされています。

日本はどうでしょうか。東北大学への大きな寄附のお話を聞くたびに、私は感謝の気持ちでいっぱいになります。しかしながら、こういった寄附金の多くは学術分野に使われる事が大半です。東北大学が国際的に名だたる大学になるためには、私は東北大学が学術や研究部門に秀でているだけではいけないと思います。例えば、スポーツ、音楽、アートといった分野においても力を発揮することで、国際的な大学へより一歩近づくのではないでしょうか?
オックスフォードやケンブリッジ大学のような世界の素晴らしい大学と肩を並べるためにも、東北大学でも学術以外の分野も手助けできるような寄附金運営ができると良いと願っております。



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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