コラム

(20) How to buy happieness.docx

 マーティ・キーナート


多くの方がTEDx talks テデックスという言葉をどこかできいた事があるでしょう。TEDは、Technology, Entertainment and Design の略で、アメリカのメディア組織が立ち上げた団体です。「広める価値のあるアイデア」をテーマにオンラインで、18分以内でインパクトのある方法でそのアイデアを発表しています。

1984年1つの小さな会合から始まったこのTEDx talksでは現在では科学、文化、政治、教育、人生に関するありとあらゆる話題に関して、有名無名問わず素晴らしいスピーカーを招待し、世界中にその理論を披露し人々に感銘を与えています。

東北大学でも、ここ3年間、TEDX talksのイベントを主催しています。


最近私は、そのTEDX talksのハーバード大学のマイケル・ノートン教授による「How to Buy Happiness」(どうやって幸福を買うか) という題名に惹かれ、他の50万人ものビューアー同様、クリックして見ました。

マイケル・ノートン教授は、そのスピーチの冒頭で「これから、お金と幸福について語ります」と始めます。それは、多くの人が常に考えている課題でもあります。彼は「私たちは常に人生啓蒙本や宗教家から、お金で幸せは決して買えませんと教えられているでしょう」と続けます。しかし彼は「それは嘘です」というのです。そして「お金は正しく使えば幸せを買う事ができます」と言い切ります。


心理学の博士号も持つマイケル・ノートン教授は、人々がどのようにお金を使うかに関する広範な研究を行った結果、自分のお金を他人の為に使っている人の方が、お金を自分の為にだけに使っている人に比べはるかに幸せであるという調査結果を発見したといいます。


特に興味深かったのは、マイケル・ノートン教授がドッジボールのチームを使った調査結果です。 教授は一定のお金をいくつかのチームの全選手に渡し、一方のチームの選手にはそのお金を自分のために使うように伝え、もう一方のチームの選手にはそのお金をチームメイトの為に使うように伝えました。すると、自分の為にお金を使った選手のチームの方の勝率は以前と変わりなかったのに比べ、お金を他人のために使った選手たちのチームは、リーグ優勝を果たすほど強くなったのです。


マイケル・ノートン教授は、彼の最新の著書「Happy Money: The Science of Smarter Spending」(幸せなお金:賢く使う人の科学)の中でもこの持論について詳しく述べています。

ノートン教授は、彼のトークの中で聴衆にDonor Choose Organization という組織を通して献金する事を勧めています。

この非営利団体は、主にアメリカの低所得層地域の公立学校の教師に献金する事ができる組織です。例えば、教師はサイトに「ハックルベリーの冒険を子供達に教えたいのですが、本を買うお金がありません」とか、「科学の授業で顕微鏡を使いたいのですが、顕微鏡がありません」というような願いを掲載します。すると、それを見た人が金額の大小にかかわらずその目的に対して、寄附を行う事が出来るのです。

そして、寄附を受け取った教師と生徒は、後から全ての献金者に対して感謝状とともにどのように寄附が使われたかを写真などを使って知らせます。

これは非常に優れた、そして価値のある慈善活動であるとともに寄附する人の幸福度もあげる事ができるのです。このようなプログラムが日本でも始まる事を期待しましょう。


https://www.youtube.com/watch?v=PsihkFWDt3Y

Michael Norton: How to Buy Happiness マイケル・ノートン:幸せを買う方法


Donors Choose Organization

https://www.donorschoose.org



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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