コラム

(19) Don’t Wear Your Money, Use it Wisely!

 マーティ・キーナート


私は、しばしばこれ見よがしに自分の富をひけらかす人を滑稽だと感じます。多くのそのような人は、いわゆる「成り金」と言われる人であることは想像に難くありません。


これは一例ですが、仙台から大阪に講演で向かう飛行機の中でこんな方を見かけることがあります。ピカピカのシルクのようなスーツを着て、ダイヤ入りの金時計に大きなダイヤの指輪とタイピン、そして黒々と染めたようなオールバックの髪に高級そうなワニ皮のセカンドバッグ。明らかに全身を高価そうな持ち物で身を固めた方ですが、私の目にはとても滑稽に映ります。


それとは対照的な話ですが、私は先日「Cheapest Rich Guys in the World ―世界で一番ケチなお金持ち達ー」という特集を見つけました。億万長者でありながら、こと自らに関しては非常に質素である人の世界ランキングです。


5位は、英国の大手携帯電話チェーン社の創立者のJohn Caudwell ジョン・コードウェル氏、総資産2,400億円。彼は、片道22.5kmの道のりを毎日オフィスまで自転車で通い、自らの髪の毛は自分で剃髪し、仕事着は全て量販店で調達するそうです。


4位は、アメリカ人のJim C. Walton ジム・ウォルトン氏、総資産1兆7,900億円。あのウォールマートの創立者を父にもつ彼は、その莫大な遺産を引き継ぎましたが、彼の愛車はドッジのダコタという古い車です。世界で最も高い車を買ってもまだあまりある彼の資産では、ノースダコタ州とサウスダコタ州を丸々買うことができるでしょうが彼はこの車が好きなようです。


3位は、Azim Premji アジム・プレムジ氏、総資産1兆8,640億円のインドのハイテク会社Wiproのオーナーです。プレムジ氏は、カローラに乗り飛行機はエコノミークラス、ビジネス旅行の際は、会社のゲストハウスに泊まるといいます。更には彼の息子の結婚式には紙皿が使われたのではという噂もあるほどだとか。


2位は、故人Ingvar Kampradイングヴァル・カンプラード氏、総資産5兆2,400億円、スェーデンの有名家具ブランドIKEA社の創立者です。彼の控えめな自宅は、もちろんIKEAの家具のみで設えられておりそれも彼自身が組み立てたということ。彼は15年経っている古いボルボに乗り、もちろん飛行機はエコノミークラスでした。


1位は、アメリカ人のWarren Buffetウォーレン・バフェット氏。総資産6兆2,130億円のこの有名な投資家は、50年以上前にたった338万円程度で購入した質素な自宅に今も住んでおり、14年経っているキャデラックに乗っているといいます。


億万長者になってもなお質素な生活を続ける彼らは、しかしながらその寛大な慈善事業活動でも知られています。彼らは贅沢をする代わりに個人資産の多くを慈善事業に回し世界のほかの誰かの手助けをする事に使っています。これは人生の良いお手本であると思いませんか。あなたが何を着ているか、何の車に乗っているかなどはあまり重要なことではないのです。それよりもあなたのお金でなにをするかが重要なのです。そしてあなたは何人の人を助けることができるでしょうか。



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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