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(34) Everything is BIG About Shaquille O’Neal, Including His Heart

 マーティ・キーナート


大抵の方は、NBAのスーパースターであったシャキール・オニール、通称シャックの名前を聞いたことがあるでしょう。彼はアメリカのNBAで1992年から2011年の19年間プレイしたバスケットボール界の大スターです。そのシャックを表す形容詞は、「大きい」、「巨大」、「どっしりした」という言葉がほとんどです。 そして確かにシャックはその全てにおいて“ビッグ”、なのです。

彼はニュージャージー州のニューアークに生まれ、彼の母親の身長は188cm 父親は185cmで、彼が13歳になる頃には身長はすでに198cmもありました。ルイジアナ州立大学在学中にNBAのドラフト1位指名を受け、オーランドマジックチームに入団する際には、身長は216cm、体重は150kgになっていました。30年たった今日では、彼は実際の体重を明かすことはありませんが、多分175kgぐらいだろうと言われています。

彼はその類い希な体格に加え、驚異的な身体能力によって、NBAの歴史上もっとも支配的かつ優秀な選手の1人として称されています。NBAに加入した最初のシーズンでは、そのあまりに強烈なダンクシュートでバスケットゴールを2回も破壊したため、次のシーズンには、強度を増したゴールが標準規格化されました。そのバスケットゴールは、“Shaq-proof”シャックプルーフと呼ばれました。
また、シャック自身の選手としての生涯成績もこれまた“ビッグ”なものでした。

【シャキール・オニール氏の生涯成績等】
・NBA 新人賞受賞 (1992-93シーズン)
・オールスター出場回数:15 回
・ファイナルでのMVP受賞回数:3 回
・最多得点王:2回
・通算28,596 得点
・リバウンド数:13,099回(歴代15位)
・ブロック数:2,732回ブロック(歴代8位)
・オリンピック金メダル(1996)
・NBAの殿堂入り(2016)
※リバウンド数とブロック数はレギュラーシーズン通算回数を記載(2020年10月29日時点)

さらに、彼にはバスケット以外にも大きな持ち味がありました。それは“ビッグスマイル”です。彼のスマイルは常に彼をハッピーにみせ、彼のポジティブな性格をより明るくしました。また、彼はいつでもファンを第一に考え、そしてメデイアにも最大級に協力的でした。彼は写真やサインを欲しがるファンの為には時間を惜しむことは決してありませんでした。

ここに並べた彼の素晴らしい性格もさることながら、さらに特筆すべきはシャックが最も稼いだスポーツ選手の1人でもあるという事でしょう。シャックは選手としては約300億円の生涯年俸に加え、現役時代だけで200億円以上の広告料を稼ぎました。そしてシャックは、今でもペプシ、リーボック、パパジョンズピザなどの50社ほどから年間60億円以上の広告料を得ています。また、何社かにおいては、彼はただのCM出演者としてだけではない契約をしており、最近では、ホームセキュリティ会社「リング社」の50%の経営権を取得し、その会社のCMに彼が出演するや否や、売り上げが飛躍的に伸びたという事です。

そんな“ビッグ”な彼は、チャリティにおいても非常に“ビッグ”です。リング社の売り上げから、彼は米国で最も犯罪率の高い地域に住む各家庭に年間1億円以上をかけ、セキュリティ設備をプレゼントするというチャリティー活動を行っています。
また彼は、NBAに加入した最初の年から、アメリカの”The Boys & Girls Club”を支援しており、今もなお最大の支援者でもあります。
この組織は、全米にて年間約400万人の児童を4100以上の施設で面倒を見ており、そのシステムは日本の「児童館」とよく似ています。シャックは、もしこのThe Boys & Girls Clubがなければ自分自身も刑務所か、もしくは命を落とすはめになっていたかもしれないとよく言います。だからこそ彼は、1992年のルーキーイヤーから長年に渡り何十億円という金額をこの組織に寄附し支援し続けているのです。

シャキール・オニールは、彼の各スポンサー達にも自らの多くのチャリティ活動に寄附するように常に呼びかけています。この“ビッグ”な彼は、本当に見事に“ビッグ”なハートの持ち主なのです。



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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