コラム

(33) Tohoku University’s Worthwhile Crowdfunding Campaign

 マーティ・キーナート


先日、東北大学は、重要な1つのクラウドファンディングを開始しました。そこで私は、クラウドファンディングがいつどこから始まったのかに興味を持ちました。

クラウドファンディングの起源は、1700年代の初期に遡るようです。作家でありアイルランドの国粋主義者であったジョナサン・スウィフトが、貧しいけれども信用に値する人々への貸付を行う「The Irish Loan Fund」という仕組みをアイルランドのダブリンで始めたことからになります。このファンドは成功を収め、次々に似たようなファンドが生まれました。1837年には公式にローンファンド委員会ができ、この資金は貧しい人々を慈善活動として助けたいと思う裕福な市民からの寄附で賄われていました。それがこの当時のアイルランドのローンのシステムでした。

そして、米国で最初に行われた大掛かりなクラウドファンディングのキャンペーンは、今から135年前にもなる1885年の夏でした。自由の女神の製作のために行われたと聞くと少し驚くのではないでしょうか。
この夏、自由の女神像は、組み立て前の状態でフランスからニューヨークに到着しました。像はすでにフランスによって支払い済みではありましたが、米国はまだ御影石の台座と組み立て費用の25万ドル、(現在だと約800万ドル)を捻出出来ていませんでした。地元と州や中央政府が支払いを拒む中、ジョセフ・ピュリツアーは自由の女神を救うため、彼がオーナーのThe New York World という新聞誌面でクラウドファンディングを始める事を思いついたのです。寄附者の多くは1ドル以下という少額でそれも紙面に名前を公表するという経費に消えたわけですが、それでも彼は16万人の寄附者をわずか5ケ月で集めたのです。

また、オンラインでのクラウドファウンディングで記録されている最初の成功は、英国のロックバンド マリロンの例です。1997年、彼らはオンラインでの寄附を募り、自らのリユニオンツアーの資金集めとしてファンに寄附を呼びかけました。キーボードのマーク・ケリーは、千人ほどのファンにメールを送り、もしツアーを実行するなら6万ドルはかかると訴えました。するとどうしても米国にきて欲しかったファンが「ならば私達が資金を集めましょう」と言い出したのです。あるファンは、もし金額が足りなければ自分のノースカロライナにある自己資金を預託金にしても良いとまで言い出しました。このキャンペーンは大成功し、バンドはツアーを実行するが出来たのです。しかしこのEメールの反響は1つのミュージックツアーで終わらないほどの大きな影響を与えました。

Artist Shareは、クラウドファンディングのプラットフォームの作成に専念し、ミュージシャンがツアーに出たりアルバムを作ったりする資金集めを出来るファンディングの仕組みを2001年に作成しました。
また、2005年に設立されたKivaはクラウドファンディングの最初のプラットフォームとして知られるようになりました。このクラウドファンディングの先駆者であるKivaは、貧困をなくすという使命感のある80ケ国以上の発展途上国の貧しい起業家たちに資金を融資する事が出来ました。起業家は無利子にもかかわらず99%の返済率でした。このプラットフォームは、慈善事業のクラウドファンディングに欠かせないものとなりました。これを機に慈善事業のクラウドファンディングはより身近になりました。
慈善事業のクラウドファンディングでその最も人気があるプラットフォームであるGoFundMe では、多い時は2億ドルもの寄附を集め、医薬品から様々な慈善事業の使命の手助けとなっています。

現在、東北大学でも同様にクラウドファンディングを行っています。このクラウドファンディングの素晴らしい使命にも手助けをお願いいたします。
「With コロナ!地域医療と先進医療の要を育てる」
https://readyfor.jp/projects/tohoku-simstar

みなさまの支援をよろしくお願いいたします。



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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