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数字に見る東北大学

7年連続日本一。高校からの大学総合評価。

高校の進学指導教諭アンケート調査結果。
在学生のみなさんは、将来「東北大学・花の大震災年次組」と呼ばれるに違いありません。
2012年版 2011年版 2010年版 2009年版 2008年版 2007年版 2006年版
1位 東北大学 東北大学 東北大学 東北大学 東北大学 東北大学 東北大学
2位 東京大学 東京大学 東京大学 東京大学 東京大学 京都大学 立命館
大学
3位 大阪大学 立命館
大学
慶應義塾
大学
慶應義塾
大学
立命館
大学
立命館
大学
京都大学
4位 新潟大学 慶應義塾
大学
筑波大学 立命館
大学
慶應義塾
大学
慶應義塾
大学
慶應義塾
大学
5位 京都大学 筑波大学 立命館
大学
筑波大学 京都大学 東京大学 東京大学

※ 「朝日新聞出版」刊の『大学ランキング2006年版~2012年版』の「高校からの評価ランキング(総合評価)」より作成

※ 文中敬称略


大学では、なぜか「花の○○年卒組」と言われる卒業年次が現れます。

その卒業年次の同窓生からは、社会で大活躍する逸材が数多く固まって輩出する…。このような例がよくあるからです。

今年の新入学生と在学生のみなさんの卒業後の大活躍が、いまからたいへん楽しみです。なぜなら「東日本大震災体験学年」として、社会の各分野で指導的な存在の同窓生をとりわけ多く輩出する「花の卒業年次」となるに違いないからです。

考えてもみてください。高校の進路指導の先生たちが7年連続で「大学全国第1位」と評価する東北大学に合格をし、在学するみなさんたちなのです。平和な日本で「東日本大震災」というかつてない逆境に直面、より真剣に考え、行動し、学問する意味を問い続けざるを得ない境遇に置かれることになりました。そうした有為な若者が、この試練をバネに、より大きく、深く、強く、たくましく、人間的に成長しないはずがないからです。

これまでの実例で説明しましょう。太平洋戦争直後の敗戦と空襲で灰燼に帰した仙台や日本の混乱の極みの時期のことです。今回の大震災どころではない不遇な状況に直面しながら東北大学で学び、卒業した同窓生の中から日本が世界に誇る研究者たちを輩出しました。たとえば、「ミスター半導体」、「光通信の父」と呼ばれる西澤潤一東北大学第17代総長、「成人T細胞白血病」ウイルスを世界で初めて発見した日沼頼夫元京都大学ウイルス研究所所長という二人の文化勲章受章者などです。いま世界中で利用される垂直磁気記録方式を発明、日本国際賞に輝いた岩崎俊一元東北大学電気通信研究所長も同年代です。

詳しくは、このコラム執筆の阿見孝雄の小著『言葉が独創を生む 東北大学ひと語録』(河北新報出版センター刊)を読んでみてください。自著を紹介する非礼と厚顔は面映い限りですが、「東日本大震災」に遭遇、その困難の中で東北大学での学生生活をおくるみなさんにはぜひ目を通していただきたく、あえて取りあげました。東北大学に係わる42名もの偉大な先人の「名言」と「エピソード」。そこに登場する人物で、「苦難」を体験しなかった方などおりません。「逆境」こそ、「独創の東北大学」を生む大きな理由であったからです。

さて、朝日新聞出版刊行の『大学ランキング』から作成したグラフを見てすぐ気づくことがあります。2位以下の大学には、7年間で移り変わりが目立つことです。全国の進学高校の進路指導の先生方が、大学進学後の卒業生の様子など実体験の分析も加え、真摯に「高校からの大学評価」のアンケートに取り組んでいる姿が浮かんできます。

進学相談の専門家として、教え子のため、大学の実態を凝視した結果の反映でしょう。その中での、東北大学の不動の7連連続「全国1位」の持つ意味の大きさが理解できます。

このランキングとは、三つの項目の指標の合計で決められています。

以下、最新の『大学ランキング2012年版』をもとに説明しましょう。

第一の項目が、「生徒に勧めたい」との評価です。東北大学は、「全国第3位」。1位は東京大、2位京都大、4位大阪大、5位慶應義塾大。東北大学は、近年常にトップクラスの評価です。大学が、真の実力で評価される時代がやってきました。

第二の項目は、「進学して伸びた」の評価です。東北大学の「全国第1位」は、長年にわたり完全な定位置となりました。2位は東京大、3位早稲田大、4位慶應義塾大、5位京都大です。

実は、別の調査項目に「進学して伸び悩んだ」もあります。この項目の22位(29大学)までに、他の著名総合大学の多くが登場します。一方、東北大学は、このマイナスのランキングに長年載ったことがありません。東北大学ならではの大きな特長でしょう。

東北大学の学生が、いかに「伸び代(しろ)」が大きく、可能性あふれる若者であることか。大器晩成型の青年たちに出会える東北大学、ともよく評されています。

第三の項目は、「広報活動が熱心」の評価です。東北大学の「全国第2位」は、国立大学法人ではもちろんトップ。1位は立命館大、3位新潟大、4位岩手大・山形大です。

東北大学は、自己宣伝の苦手な大学です。中央のマスメディアから離れた仙台にあり、広報には不利な一面もあります。にもかかわらず2位の高評価。「知の拠点」東北大学らしい、真正面からの真面目な取り組みが支持されているのではないでしょうか。

全国からの参加者が5万人に迫る「オープンキャンパス」。「受験情報の開示」への真摯な努力。学問の楽しさや科学する面白さを伝える「高校などへの出前講義」や「サイエンスカフェ」の全国での先駆をなす展開。日本初の女性大学院生による「サイエンス・エンジェル」の誕生と活動などなど。「傍系入学」や「わが国初の女性大学生」を誕生させた「門戸開放」の伝統が脈々と生きる東北大学ならではの取り組みです。

国立大学で初めて導入した東北大学のAO入試は、良く練られた内容であり、熱心と評判。日本では数少ない成功事例と高く評価されてもいます。

このような評価、実績があっての「7年連続の大学総合評価日本一」なのでしょう。

さらに今年は、「東日本大震災」に遭遇するという「逆境」が加わりました。まさに「在学生」や「東北大学」の真価が問われる試練です。みなさんが将来に「花の大震災組」と呼ばれ、真の大きな創造的な役割を担う人間となる“好機”が揃ったとも言えるでしょう。

東北、そして日本の復興と再生の一刻も早い実現は、在学生のみなさんの『一刻の青春を惜しむ』(黒川利雄東北大学第10代総長の言葉・文化勲章受章者)意思と志、そして努力の継続にかかっているのです。

社会が、未来が、“東北大学・花の大震災年次組”の活躍を待望しています。




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