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数字に見る東北大学

地元圏外からの入学者56パーセント。有力大学トップ。

“親離れ”した学生比率、飛び抜けて高い東北大学。



 『一つの鐘しか聴かない者は、一つの音色しか知らない』
 ドイツの、指導的な立場となる学生に向けての格言です。
 若者は、親元や育った地域から離れた大学で学ぶべきだ。それでこそ、さらなる人間的な成長と多様性、自立心が獲得でき、創造力が磨かれる…。このような経験則や考えを表したものです。
 では、この格言の勧めにふさわしい情況にある日本の有力総合大学とはいったいどこか…。実は、それが、東北大学なのです。

 たとえば、伝統ある七国立総合大学の入学者で見てみましょう。出身高校の所在地域構成で、その大学の所在する地域ブロック圏外からの入学者比率は、東北大学がトップです。東京大学ですら、二人に一人近くが地元の関東圏出身者で占められています。
 いま、日本は、誕生から大学進学、就職まで、一つの地域(一つの鐘)しか知らない若者が増えています。これが、現在の日本の“ひ弱さ”と“画一性”の隠れた素因かも知れません。

 一方、東北大学は、地元宮城県からの入学者が例年14パーセントか13パーセント。つまり、どう少なく見積もっても80パーセント以上の学生が親元を離れ、独り立ちし、東北大学に学んでいる計算になります。首都圏や近畿圏では、同一ブロック圏の出身者の多数が親元から通学。在学生の「自宅通学者割合」、いわば“親離れ指数”となると、東北大学は、全国で飛び抜けて高い総合大学です。これが、東北大学の学生像の大きな特長でしょう。

 では、私立大学はどうでしょうか。一般入試の合格者ではない実際の入学者を見ると、もともと地域ブロック圏内の出身者が多く、最近は「付属校」や「系列校」出身者の比率が高まっています。ますます「一つの鐘しか知らない」学生が増えました。日本を代表する有力私立総合大学でも、“自宅通学者割合”が50パーセントを越えているのが実情ではないでしょうか。

 東北大学とは、独り立ちして暮らす、親離れした、多様で、たくましい友に、全国一出会える確率の高い総合大学です。東京への一極集中、均質化した現代の日本で、まさに貴重な存在の青年たちでしょう。彼らが、この恵まれた情況を存分に活かし、さらに自分を磨き、向上するには、いったいどうしたらいいのか…。
 そのための答えとは、東北大学創立の時から明らかでした。東京を飛び越え、仙台から常に世界を見据える姿勢と行動です。

 欧米の文明・技術の導入と模倣が大学の役割と考えられていた明治時代、東北帝国大学初代総長の澤柳政太郎は、『世界の文明の先頭に立つ大学』をすでに目指していました。教授たちも同様です。数学の初代教授林鶴一は、巻頭に欧米人学者の論文を掲載した『東北数学雑誌』を刊行。医学部では1920年に英文の『東北実験医学』を創刊。いまでは日本を代表する英文医学誌として世界に広く知られています。これらは、ほんの一例に過ぎません。

 東北大学の学生は、目標を常に国際的な水準に、高く掲げよ。それでこそ、東北大学で学ぶ強みがより発揮されるのです。海外留学や海外インターンシップに意欲的に挑戦し、学内の留学生たちともさらなる切磋琢磨に励んで欲しい。井上明久総長の「井上プラン(東北大学アクションプラン)」とは、まさにそのような学生を応援する施策です。世界の優れた学生を良きライバルとし、学生自身が、教育内容への要望を大学側にどんどん求める…。
 このような若者を、東北大学は大いに歓迎することでしょう。

 伊達政宗も、支倉常長をローマへ派遣する世界的な視野を持っていたからこそ、さらに魅力ある“伊達な男”となったのです。


両博士に続く才能たちが、21世紀へ貢献するいかなる研究ドラマを創り出してくれるのか。ますます楽しみな東北大学です。




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