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数字に見る東北大学

全国第1位。東北大学卒業生の「教育研究内容」満足度。

日本経済新聞社の調査、「ビジネスパーソンの卒業大学ランキング」。

ビジネスパーソンが卒業した大学満足度。
「教育研究内容が優れている」項目ランキング

順位 大学名 「教育研究内容が優れている」項目の満足度
1位 東北大学 83%
2位 筑波大学 77%
3位 東京大学 75%

※日本経済新聞社と日経HRの共同調査による「ビジネスパーソンが卒業した大学満足度調査」から作成
(参考資料は、日本経済新聞平成24年12月10日号の掲載記事)


当り前ですが、大学とは学生あっての存在。研究中心大学も、ここが研究機関との決定的な違いでしょう。

それほど大事な存在の学生たちです。在学生が卒業後に社会で活躍するビジネスパーソンとなり、出身大学への満足度の高い大学であるかどうか。大学の隠れた実態評価の重要な視点ではないでしょうか。

反響を呼んだ「卒業大学満足度調査」を紹介します。


その調査で、東北大学は、「教育研究内容が優れている」の項目で断然トップの全国第1位となりました。

満足度の指数は83%。第2位筑波大の77%、第3位東京大の75%と比べてください。

東北大学を卒業したビジネスパーソンの、母校東北大学で受けた教育と研究内容への高い満足度の突出が際立っています。

東北大学は、大いに誇りにして良い調査結果ではないでしょうか。



卒業生という“出口”の「評価調査」が実証!高校評価「8年連続全国第1位の東北大学」の“入口”評価。


紹介した大学ランキングとは、ビジネス記事に強い日本経済新聞社と日経HR(HUMAN RESOURCES)というキャリアマガジンとの共同の調査によるものです。ビジネスパーソンと呼ぶにふさわしい調査対象者からのアンケート調査。34人以上の回答者を得た27大学をランキングしたものです。

「満足度」とは、「かなり満足している」と「ある程度満足している」を選んだ人の合計比率で指数化されています。

ランクインした27大学とは、文字通り日本の著名大学を網羅したような結果。内訳は、国立大学が東北大学、東京大、京都大など13大学、私立大学が慶應義塾大、早稲田大など14大学です。


満足度全体としての卒業大学ランキングでは、東北大学は「全国第2位」でした。満足度は98.1%。これもまた素晴らしい結果でしょう。

第1位は北海道大の100.0%。第3位は一橋大学の97.1%。第4位は慶應義塾大の95.6%。第5位は筑波大の94.9%です。

ちなみに、第1位の北海道大の卒業生が満足している一番目の理由とは「立地が良い」で56%。二番目の理由が「キャンパスの施設」で52%です。

一方、第2位の東北大学の卒業生の満足している理由の一番目が前に述べた「教育研究内容」で83%。二番目の理由が「学生の質が優れている」で51%でした。


ここで思い出されるのが、朝日新聞出版刊の『大学ランキング2013年版』の話題の調査結果です。

東北大学は、「高校からの大学評価、総合全国第1位」。2006年版からなんと「8年連続」で日本一の評価です。これまた全国で大きな関心を集めました。

その調査で注目すべきは、「進学して伸びた」項目の評価です。東北大学は、「6年連続全国第1位」を独走中。日本の主な進学高校の進路指導教諭からの高い評価と信頼の現われです。これはいわば、大学評価の“入口”の「評価調査」といえるでしょう。


今回発表の“出口”の調査とこれまでの“入口”の調査の双方で、東北大学の全国第1位評価。

このことは、広く社会に知られて良い客観的なデータであり、価値ある大学評価ではないでしょうか。


この結果を踏まえた上で、東北大学の在学生が卒業後に実社会でさらにいっそう活躍し、充実した人生と輝かしい未来を獲得するためには何が求められるか。

そのための貴重なアドバイスを、二人の先輩同窓生から聴き取り取材をいたしました。



「在学生は、とにかく“トップリーダー”を目標に!」。
米本年邦(よねもと・としくに)青葉工業会常務理事。


『大学としてもっとも嬉しい評価は、<教育研究内容が優れている>、ではないでしょうか。その項目で、全国第1位であった。今回の調査は卒業生という実体験者からの生の声です。入試担当の総長特別補佐も兼ねている私としては、たいへん心強く頼もしい日本経済新聞社の調査結果でした』。


笑顔で語る米本年邦青葉工業会常務理事。会員およそ6万人、東北大学最大の同窓会の実質的な取りまとめ役です。10年もの間、東北大学と同窓生をつなぐ役割に尽力してきた工学研究科の教授です。


『この調査結果を、工学部の卒業生の立場になって考えてみました。卒業し社会人として活躍する中で、改めて東北大学時代の卒業論文や修士論文への取り組みと研究がとても充実していた、役立っている、との強い思いや誇りがあるのではないでしょうか。もちろん優れた研究の元にはそれにふさわしい教育も連動しています。その両方への満足度だと推察します』。


米本常務理事自身も東北大学工学部の同窓生。企業での卒業生の評判を尋ねてみました。


『地道だが確実。部下としてとても頼りがいがある。こうした評判を良く聞きます。しかし、評価がたいへん高い割には、企業のトップ層まで上り詰める卒業生の数がもう一つ物足りません。部下として頼られるのも良いのですが、ぜひとも企業や組織のトップになり、全体の責任ある立場から社会に役立つ影響力を大いに発揮できる卒業生をもっともっと大勢輩出してほしい。こう思っています。それには、研究や学業に加え、“マネジメント力”を磨くことが大事ではないでしょうか』。


つまり、社長・会長クラスの東北大学同窓生の割合をさらに高くし、東北大学発とも評される有力企業や世界企業を誕生させ、これまで以上にどう増やすか。このような問いかけともいえるでしょう。


『それには、第一に、在学生が自己の目標を、トップの責任を担う人間になる、と明確に意識することがなによりも大事です。そのための心構えと具体的な準備を、東北大学在学中から仲間と共に切磋琢磨し励んでもらう。東北大学としてもそのための支援を始めています。博士院生を対象にした「高度技術経営塾」が開講されてもいます。これは「博士リーダー」の養成です。受講塾生はとても熱心。塾の卒業生が、定年退官した渡辺幸男元特任教授を塾長とする「ナベ塾」を自主的に立ち上げ、東京で研鑽を続けているほどです』。


渡辺塾長とは、その塾生への熱意あふれる指導を筆者も良く知っている法学部の先輩です。


『東北大学は、東日本大震災で被災した地域のまさに中核大学です。あの大災害の実体験から、社会を、日本を、世界をリードし、未来を担う指導者がいかに大切か、いかに不足していたかを痛感しました。これはある意味で、日本の大学の責任でもあります。

“牛後”より“鶏口”を目指す。未来に責任を持つリーダーを目標とする。東北大学は、こんな若者に大勢入学してもらいたいのです。もちろん、東北大学自身も、在学生の目標達成にふさわしい大学であるように、懸命に努力しなければなりません』。


総長特別補佐として口元を引き締めた米本常務理事。

東北大学が、アジアで初めて「欧州大学協会」による厳しい「大学評価」を進んで受審したのも、「世界リーディング・ユニバーシティ」を目指す自己改革の強い意欲と決意の現れなのでした。



「同窓生をつなぐ仕掛を。飛躍への、タテ、ヨコ、ナナメの人脈」。
清水廣行(しみず・ひろゆき)法学部同窓会事務局長。


元は新潟鉄工所に勤務。アラブ地域での大規模なプラント輸出を長年手がけてきた清水廣行法学部同窓会事務局長。今回の調査結果への感想を尋ねました。


『東北大学で過ごした大学生活に満足はしている。しかし、意外にも同窓生同士のタテ・ナナメのつながりが弱いのではないかと感じています。トップとしての責任ある立場に就くには、結局は人間力です。つまり人と人とのつながりがもたらす切磋琢磨と信頼が決め手でしょう。その出発点が同窓生のタテ・ヨコ・ナナメの“ツナガリ”なのです。これは「学閥」をつくれといっているのではありません。同窓生とのつながりさえももてない人間力では、企業内でのトップ選抜の重要時期にどうして大きな飛躍とチャンスをつかむことができるでしょうか。人は人で磨かれ、成長するのです。人間とは、自分が見込んだ人物に好機を与えるもの。そのため、人とつながる機会は、なるべく多いほうが良いのです。卒業生は東北大学の各学部等の同窓会や萩友会をもっと上手に活用すべきでしょう。そして、東北大学側にも同窓生に役立つシステム、仕掛け作りがたいへん重要だと実感しています』。


では、どのような仕掛けが必要なのでしょうか。


『各学部の同窓会の役割が非常に大切です。各企業や各組織に在籍する同窓生のデータを把握。それぞれの組織内での先輩、後輩のつながりを結び、知り合う機会をつくることが第一でしょう。つまり、タテのつながりです。次に、全学部が集う萩友会の会合などに出席した同窓生のデータを出身学部の同窓会にも知らせる。これは、ナナメとタテのつながりの強化です。どれも、データの共有が基本となります。各同窓会と萩友会は車の両輪として、なおいっそう連絡を密にすべきです。たとえば、萩友会会員データを各同窓会へフィードバックする、同窓会の役員は萩友会のプレミアム会員になる…。これらは当然のことでしょう。

次に、ヨコのつながりでは、学部を横断した全学部の同期会の活用などが考えられます。弱点とされる東北大学全体としてのアイデンティティーの醸成にも効果が期待できるでしょう』。


具体的にはどういうことなのでしょうか。


『東北大学百周年記念事業の時期より、各学部卒業生の中から「同期会幹事」が総長名で毎年任命されています。その幹事たちを上手に活用する仕組みはどうなっているのでしょうか。ただ任命しただけに終わっていなければ良いが、と願っています。彼らには、常に母校東北大学の情報や同期生の動向データが提供されているかどうか。毎年あるいは数年置きに同期会幹事が集まり、東北大学同窓生、同期生としての親交を深め、東北大学とより密接につながる機会がシステム化されているでしょうか。同期会幹事の集まりをホームカミングデーに合わせて実施する、年一回は同期生の動向データを知らせ、データのアップデート化を図る、といった仕組みにする。まずは、現在すでに発足している同期会幹事たちを、いかに熱心な母校東北大学の応援組織、推進力にするかが肝心です。同窓会は、このことに喜んで協力するでしょう』。


具体策としては、卒業後20年目に同期会の推薦で、同期で大活躍の卒業生を選び、入学式の講演者として式場に登壇させる。卒業後40年目には、もっとも社会に貢献し影響力を持った卒業生を選び、卒業式で凱旋講演をしていただく。こうしたことで、学年ごとの切磋琢磨の励み、競争とする、などの試みです。


『今回の調査の感想に戻れば、東北大学の「研究第一主義」のもとで学生への教育の実際が本当に在学生の満足に値する水準に達しているかどうか、東北大学としての検証も肝要だと思います。同窓会は卒業生のためだけのものではありません。大半の学部で在学生も同窓会組織の一員、重要な存在です。在学生にとって誇りに足る東北大学の教育研究内容であり、学生への充実した成長支援もある…。これらは、同窓会役員や同窓生の強い願いでもあります。そのためにも、学生自身が学内での活動はもちろん同窓会や萩友会の行事などに積極的に参加し、自分をさらに磨き、可能性をより高める機会にしてほしいと思います』。


ついつい話が熱くなってしまいました。清水同窓会事務局長は筆者の旧知の先輩。前述の「ナベ塾」の渡辺塾長とは同期。塾長と筆者のつながりを結んでもいただいご縁です。こうした“ツナガリ”があり、取材一時間の約束が、片平キャンパス北門「レストラン萩」の閉店時刻10時近くまで、楽しく、かつ真剣に話し合うことになりました。

これもまた、同じ東北大学同窓生としての「ツナガリ」と母校への「満足」があってこそ、なのでした。



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※文中敬称略、ルビ・カッコ内補注筆者。ご家族にもお見せいただければ幸いです。

※今回で、コラム「数字に見る東北大学」は最終回を迎えることになりました。このシリーズ企画は、(財)東北大学研究教育振興財団の広報誌「樅の木」からつづくものです。これまでのご愛読に感謝申し上げ、いつか再び何かの機会にお目にかかることを期待し、御礼といたします。長い間、ありがとうございました。(文責 阿見孝雄)




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