大学ランキング総合評価
(2015年4月現在)
全国の進学高校からの「大学総合評価ランキング」の推移
2013年版 | 2012年版 | 2011年版 | 2010年版 | 2009年版 | 2008年版 | 2007年版 | 2006年版 | |
1位 | 東北大学 | 東北大学 | 東北大学 | 東北大学 | 東北大学 | 東北大学 | 東北大学 | 東北大学 |
2位 | 東京大学 | 東京大学 | 東京大学 | 東京大学 | 東京大学 | 東京大学 | 京都大学 | 立命館 大学 |
3位 | 京都大学 | 大阪大学 | 立命館 大学 |
慶應義塾 大学 |
慶應義塾 大学 |
立命館 大学 |
立命館 大学 |
京都大学 |
4位 | 大阪大学 | 新潟大学 | 慶應義塾 大学 |
筑波大学 | 立命館 大学 |
慶應義塾 大学 |
慶應義塾 大学 |
慶應義塾 大学 |
5位 | 慶應義塾大学 | 京都大学 | 筑波大学 | 立命館 大学 |
筑波大学 | 京都大学 | 東京大学 | 東京大学 |
※「朝日新聞出版」刊の『大学ランキング2006年版~2013年版』の「高校からの評価ランキング(総合評価)」より作成
全国の進学高校から「全国第1位」と評価、東北大学の実力。
朝日新聞出版刊行の『大学ランキング』から作成したグラフを見てください。2位以下の大学は、8年間で移り変わりが目立ちます。全国の進学高校の進路指導の先生方が、いかに真摯に「高校からの大学評価」のアンケートに取り組んでいるか納得できるでしょう。その中での東北大学不動の8年連続「全国第1位」。大いに誇りにしたい事実です。
この大学ランキングは、三つの項目の指標の合計で決められています。
最新の『大学ランキング2013年版』をもとに説明しましょう。
第一の項目が、「生徒に勧めたい」との評価です。東北大学は、「全国第3位」。1位は東京大、2位京都大。この上位3大学が、4位以下の大学を大きく引き離しています。
第二の項目は、「進学して伸びた」です。東北大学の「全国第1位」は6年連続。完全な定位置となりました。2位は東京大、3位京都大です。
実は、別の調査項目に「進学して伸び悩んだ」もあります。この項目の22位(30大学)までに、他の著名総合大学の多くが登場します。一方、東北大学は、このマイナスのランキングに長年一度も載ったことがありません。東北大学ならではの特長です。
第三の項目は、「受験生への情報開示や広報活動の熱心さ」です。東北大学の「全国第2位」は、国立大学法人ではもちろんトップ。1位は立命館大、3位新潟大です。
東北大学は、中央のマスメディアから離れた仙台の地にあり、広報には不利な一面も。にもかかわらず高い評価。受験情報の開示などへの誠実な取り組みが支持されているのではないでしょうか。
「たいへんおトクな大学」。予備校がおすすめする、東北大学受験の魅力。
ちょっと考えた後で、東北大学受験対策でもっとも歴史と伝統のある予備校「河合塾東北本部」の佐々木一幸本部長が切り出しました。
『言葉足らずで誤解されるといけないのですが、東北大学を一言で表現すれば、とてもおすすめしたい、ま、“お買い得な大学”と言えましょうね。』
果たしてどのような意味なのでしょうか。
『東北大学は、東北・北海道地域のトップの難関大学です。しかし、高校3年生の夏まで部活動に青春を謳歌するすこしのんびりした東北の土地柄。受験で言えば、関東以西の旧帝国大学に比べると入りやすいのです。にもかかわらず、東北大学の卒業時には、西のそれらの旧帝大と同等かそれ以上の評価で卒業生を社会が受け入れてくれます。伝統の力でしょうが、もともと学生自体が受験で伸びきってしまったタイプではありません。大学に入ってからの伸びシロが大きいのですね。
もちろん、大学で蓄えた実力も挙げなければなりません。日本屈指の総合大学ですが、全学部でゼミナール指導を始めとする驚くほどの少人数教育がなされています。一流研究者からの徹底した卒論指導も昔から定評です。結果として、大学院進学率が高くなります。つまり、学生が学問する喜びを味わえる東北大学、と言えるのではないでしょうか。
東北大学に入学する学生は、性格が真面目で、素直です。東北以外の地域からの入学者が多数を占めますが、その学生たちも東北大学のそんな学風になじんでいくのでしょう。社会人として、上司から信頼され、評価される卒業生が多いと聞いています。旧帝大としては比較的に入りやすく、しかも卒業時の評価はとても高い。受験生の立場を考えると、ぜひおすすめしたい東北大学、となります。』
そう言えば、理系の大学と見られがちな東北大学ですが、キャリア官僚となる難関資格の国家公務員試験の合格者数は、全国で4位か5位。入学者数から見た合格者の比率は、文系学部において堂々の全国第3位です。
『入りやすいと言いましたが、入学者のトップ層の水準は高く、厚いのです。他の旧帝大は、トップ層が大幅に抜けた、地域の二番手の志望者という性格が強く、複雑なコンプレックスを持っている学生さんが多いように感じます。その点、東北大学には、地域のトップ層が入学する比率がとても高い。そのことが、学生同士の切磋琢磨を促し、全体を引き上げ、東北大学の卒業生の社会からの評価を高めている一要因ではないでしょうか』
小・中学校の全国学力テストで、小学校部門の全テスト科目の「5冠王」となった秋田県。他の東北各県も全国のトップ集団に多くが位置しています。東北、そして東北大学にとって、ますます将来が楽しみになってきました。
『東北大学のオープンキャンパスは、全国屈指の参加者数です。これも、東北の中核大学の責務として、「大学らしい大学とは」を、まずは地域の高校生たちに知ってもらう機会にしたい。このような使命感があっての取り組みのように感じます。高校の先生方は、そこをよくご存じです。「大学とは…」を理解させる絶好の機会として東北大学のオープンキャンパスに学年単位で大勢の生徒を参加させています。こうした東北大学の姿勢も、進学校の先生方から信頼される理由の一つの現れでしょう。
ただし、そのためもあってか、参加者数が5万人を越す割には東北大学の受験志望者数が増えていません。参加者層と東北大学志望者層とのずれが大きいようです。
東北大学としては、日本を代表する全国区大学であること、国際性にたいへん富む大学であることなどを、もっともっと前面に押し出し、積極的にアピールしてはいかがでしょうか。いわば、志の高い高校生の心を掴み取るパフォーマンスあふれるアプローチです。東北大学らしい、一流研究者ならではの夢と希望を、本人自身の姿で分かりやすく、ストレートに、しかもスマートに訴えかける…。このようなイメージやPR戦略がさらに必要とされる時期のように外部からは思えます』
理由と努力があっての全国第1位。東北大学は、第一志望者獲得の入試を工夫。
8年連続の「全国第1位」の評価は、日本の第三番目の帝国大学として創立された長い歴史と伝統が生み出したものでもありましょう。「研究第一」、「門戸開放」、「実学尊重」の理念を、日本で始めて実現させた輝かしい実績がもたらした栄えある成果でもあります。
まさに、東北大学全体で勝ち得た素晴らしい評価です。
とは言え、「東北大学高等教育開発推進センター・入試開発室」が果たしている役割も大きいのではないでしょうか。話をうかがった入試開発室の鈴木敏明教授をはじめとする担当教員は、全国の進学校の進路指導部などを対象に東北大学の入学者選抜方法の説明や個々の学校情報の収集などで東奔西走の毎日です。
『入試のことをまずはお話しましょう。東北大学では、絶対に東北大学で学びたい、研究をしてみたいという、東北大学第一志望の皆さんにぜひ入学してもらいたいのです。つまり、「選抜のための大学入試」から「教育の一環としての大学入試」を目指しています。東北大学で熱心に学び、研究活動に参画していける、しっかりとした基礎学力を有する学生を見つけ出す入試であること。入試も東北大学の大学教育の一環として明確に位置づけられています。
この基本姿勢が、日本有数の研究中心大学である東北大学らしいと、進学高校の先生方に高く評価されているのではないでしょうか。
たとえば、日本の国立大学で初めて導入した「AO(アドミッションズ・オフィス)入試」がその良い例です。
世間一般でAO入試というと、「定員確保のための超軽量入試」というネガティブな捉え方をされることがしばしばあります。しかし、東北大学のAO入試とは、そうした「怪しげな入試」とはまったく別物の「難関入試」です。
東北大学のAO入試では、志願者の主体的な「志願理由」と、しっかりした「基礎学力」が厳しく査定され、結果的に各高校の最優秀層が合格してきます。AO入試合格者の大学入学後の学業への取り組み状況も、期待どおりの素晴らしい健闘振りです』
東北大学全入学者の第一志望率は83%ですが、AO入試での入学者は95%。東北大学志望の決定→入試への挑戦→入学後の勉学への精進、という自然な流れが、東北大学AO入試で実現しているものと思われます。
『「進学して伸びた」でも6年連続の全国第1位ですね。このことは、学生諸君の努力と研究中心大学としての東北大学の教育・研究環境がたいへん優れていることが最大の理由でしょう。大規模総合大学にも関わらず、一流研究者から直接に少人数教育で学ぶことができる。この「学問の王道」こそ、東北大学の大きな特長です。
そのほか、意外に忘れてならないのは、仙台市の暮らしやすさです。全国の政令指定都市の中で、「真夏日+真冬日」の日数がもっとも少ない穏やかな気候の街です。夏は涼しく、冬の積雪は少ない。街はケヤキ並木の緑あふれるまさに「杜の都」。海や山の大自然にも近い恵まれた環境です。社会の皮相な時流や風潮に流されずに、健やかに勉強に専念できます。
伊達政宗が築いた青葉城の二の丸跡が、1、2年生の通う、もっとも学生の多い「川内キャンパス」です。学生諸君は、街の中で鮎釣ができる清らかな広瀬川を渡って大学に行き来します。しかも繁華街に歩いて行ける近さ。日本で、こんなに魅力的な環境の著名総合大学は、ちょっと見当たりません。
仙台で暮らすと、歴史ある「学都・仙台」の伝統で学生が大事にされ、信頼されていることがすぐ実感できることでしょう。
仙台市内の家賃は安く、生活費が少なくすみます。しかも大学キャンパスまで約30分圏内です。実は、大学の寮に入ると家賃が月数千円程度ですんでしまいます。外国人留学生と一緒に生活する新しい寮もあります。
東京へも、新幹線で最短1時間35分。勉学に、生活に最適で便利な都市と言えるでしょうね。最近、東京や首都圏からの入学者が増えています。親元を離れて暮らす学生の割合が80%以上。これは、旧帝大を含めた全国の著名総合大学の中で断然トップです。「可愛い子には旅をさせよ」とよく言われますが、現在もっとも親離れをした日々を体験している学生比率の飛び抜けて高い大学、それが東北大学です。
これだけの条件が揃えば、東北大学入学者が「進学して伸びた」と高校の先生方が実感し、感心されるのは当然ではないでしょうか』
今回の『大学ランキング』での東北大学への評価では、「東日本大震災」の影響がほとんどないアンケート結果でした。
『もちろん、「東日本大震災」と例の原発事故の影響で、ある程度今年の受験生は減りました。しかし、予想より入試への影響は少なかったように思います。東北地域はもちろん首都圏や中部地方の方は、相対的に情報量が多かったためか、仙台の安全な状況をよくご存じでした。ところが、関西以西の遠隔地からの受験は減りましたね。離れていて仙台の様子が良く分からないせいでしょうか。親御さんが反対する例が多かったようです。それでも、東北大学を受験し入学してくれた学生が大勢います。そういう学生は、「東日本大震災」の被災地の復興や日本再生のために役に立ちたいとの高い志を持った若者です。将来を大いに期待しています』
復興・再生の先導役たらんとする東北大学にとって、願ってもない学生たちでしょう。
そうは言っても、根拠のない風評に負けないよう、関西地区での入試・進学説明会や高校訪問にも一層力を入れていきたいと話す鈴木教授。
来年の『大学ランキング』のアンケート結果が、いまからますます待ち遠しくなってきました。