Line-up of Leading-edge Research 最先端の研究ラインアップ
2010・11・04
絶縁体が金属に変わる新原理の解明

2010・12・08
左巻きカタツムリの進化は、ヘビが引き起こした
─ 種分化を起こす遺伝子は適応進化にも寄与する ─

本学原子分子材料科学高等研究機構の王中長助教、幾原雄一教授(東京大学教授兼任)、川崎雅司教授らの研究グループは、高品質酸化物薄膜において「電気が流れにくい絶縁体状態から流れやすい金属状態(高導電性)への遷移機構」を原子識別可能な走査透過電子顕微鏡法によって解明しました。この成果によって、環境調和した透明酸化物材料に対して導電性制御の新たな手法の確立が可能であり、超伝導素子や熱電変換素子の開発への貢献が期待できます。研究は、本学金属材料研究所との共同で実施され、この成果は英国科学誌Nature Communicationsオンライン版に掲載されました。

生物多様性を創り出す種分化のメカニズムを解明することは、進化生物学の重要命題です。本学大学院生命科学研究科に所属する日本学術振興会特別研究員の細将貴らは、巻き方向の逆転による左巻きカタツムリの種分化が、カタツムリ食の特殊なヘビから逃れるための適応進化として引き起こされたことを発見しました。これは、一つの遺伝子が種分化と適応進化の両方に大きな効果を持つことを実証するものです。この成果は、自然科学分野の総合誌Nature Communicationsにオンライン掲載されました。

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2010・12・16
薬による二日酔いのメカニズムの解明
─ 分子イメージングによる画像化に世界で初めて成功 ─
2010・12・28
テラヘルツ光でラットリング振動を撮影
─ グリーンエネルギーを生む熱電変換物質の開発へヒント ─

本学大学院医学系研究科の谷内一彦教授とサイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの田代学准教授は、PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)を用いて前夜に服用した鎮静性抗ヒスタミン薬による「二日酔い」の分子イメージングに成功。そのメカニズムをヒトで初めて明らかにしました。鎮静性抗ヒスタミン薬は処方箋なしで購入できるOTC薬によく含まれています。特に車の運転や受験など高い能力を発揮する時には服用しないよう注意することを、科学的に証明しました。本研究は米国の専門誌Journal of Clinical Psychopharmacologyに掲載されました。

本エネルギーの再生利用の鍵となる熱電変換物質(熱を電気に変換する物質)に必要な熱伝導を抑える機構として、原子のラットリング振動が注目されています。本学大学院理学研究科物理学専攻の豊田直樹教授のグループ(低次元量子物理研究室)は、クラスレート化合物Ba8Ga16Sn30のカゴに内包されているバリウム(Ba)原子のラットリング運動をテラヘルツ光で撮影することに成功しました。この成果は、広島大学大学院先端物質科学研究科の高畠敏郎教授のグループとの共同研究で得られました。論文はフィジカル・レビュー・レターズ誌(米国物理学協会)にて発表されました。

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2011・01・17
高性能磁石向けジスプロシウムの使用量
4割削減に成功
2011・01・17
がん転移の原因タンパク質の構造解明

NEDOの「希少金属代替材料開発プロジェクト」の一環として、レアアース(希土類)の一種で高性能磁石の製造に必要なジスプロシウムの使用量を低減させる技術の開発に取り組んでいるインターメタリックス株式会社(佐川眞人代表取締役)と本学未来科学技術共同研究センターの杉本諭教授らは、ネオジム焼結磁石の、結晶粒子のサイズを小さくすることで保磁力を向上させ、ジスプロシウムの使用量を約40%削減することに成功しました。今後、ジスプロシウムフリーの磁石でも保磁力25kOe(キロエルステッド)の実現を目指すとともに、量産化に向けても検討を進めていきます。  

本学大学院薬学研究科の青木淳賢教授、東京大学、大阪大学の研究グループが、がん転移の原因タンパク質の構造を解明しました。脂質メディエーターリゾホスファチジン酸(LPA)は、Gタンパク質共役型受容体に作用し細胞応答を引き起こし、正常な血管形成に必須な酵素タンパク質です。一方で、がん、動脈硬化、肺線維症などの疾患に関与しているとされ、創薬ターゲットとしても注目されています。このLPAの産生酵素であるオートタキシン(ATX)がLPAを産生するメカニズムを、分子レベルで解明しました。本研究成果は新規創薬開発の基盤となることが期待されます。

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2011・01・19
高輝度蛍光体の開発に成功
─ 白色LEDへの応用に期待 ─
2011・01・25
顕著な抗がん作用を示す
海洋天然物の完全化学合成

本学多元物質科学研究所の垣花真人教授の研究グループは、住友金属鉱山株式会社との共同研究を推進し、近紫外光または青色光を照射することによって青緑~黄色に光る高輝度なシリケート蛍光体(蛍光体:光エネルギーを吸収すると吸収した光よりも長い波長の光を発する機能性材料のこと)とその新しい製造方法の開発に成功しました。この高輝度蛍光体の開発には、本研究に先立ち垣花グループが開発した水溶性のケイ素化合物を利用した蛍光体合成が重要な役割を担っています。本研究で開発した高輝度蛍光体は、白色LEDへの応用が期待されます。

本学大学院生命科学研究科の不破春彦准教授、佐々木誠教授のグループは、奄美大島で採取した海綿より抽出されたマクロリド化合物イグジグオリドの効率的な完全化学合成を世界に先駆けて達成しました。さらに、本学医学系研究科、癌研究会癌化学療法センターとの共同研究により、イグジグオリドがヒト肺がん細胞の増殖を抑制することを明らかにしました。今後、化合物の構造最適化や作用機序の解明により、画期的な抗がん剤の開発や創薬ターゲットの発見に結びつく可能性があります。この成果は、欧州総合化学誌Chemistry—A European Journalに発表されました。

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Award-Winning 栄誉の受賞

11/12 国際文化研究科 柳瀬明彦准教授が日本国際経済学会「小島清賞優秀論文賞」受賞
11/19 日本学生支援機構・平成22年度優秀学生顕彰事業において本学学生3名が受賞
11/24 経済学研究科の権奇哲教授と福嶋路准教授が第5回(2010年)日本 ベンチャー学会・清成忠男賞受賞
11/24 農学研究科・宮澤陽夫教授が日本政府観光局(JNTO)「国際会議誘致・開催貢献賞」を受賞
11/29 経済学研究科の石垣政裕講師が平成22年度子ども若者育成・子育て支援功労者表彰<子育て・家族支援部門(個人)>
12/07 薬学研究科・今井潤教授が「第1回日本高血圧学会賞」を受賞
12/07 薬学研究科・寺崎哲也教授の研究グループが米国薬科学者会議(AAPS)最優秀論文賞を受賞
01/24 学際科学国際高等研究センター・八百隆文客員教授が第60回河北文化賞(産業部門)を受賞



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