ウイルスの変化による新型インフルエンザの流行インフルエンザは目に見えないほど小さなウイルスによって起こります。インフルエンザは日本を含む温帯地方では毎年のように冬から春にかけて大きな流行を起こします。このようないわゆる季節性インフルエンザはウイルスが毎年少しずつ変わっていくために起こると考えられています。つまり、ウイルスが変化していくために以前にインフルエンザウイルスに罹ったことのある人も再度罹ってしまうので、毎年のように大きな流行が起きるのです。しかしこのように人間に感染するウイルスが少しずつ変わっていくことによって毎年の流行が起きる以外に、もう一つ別のメカニズムで大きなインフルエンザの流行が起きることがあります。それまで鳥やブタなどの間で流行していた動物のインフルエンザウイルスが人の間で流行するように変化することによって起きる流行です。このような動物のインフルエンザウイルスに対しては多くの人が過去に感染したことがないので、免疫を持たない人が多く、世界規模の大流行が起こることになります。このような流行を新型インフルエンザとかインフルエンザパンデミック(世界規模の流行を意味します)と呼んでいます。 WHOのインフルエンザ対策 二〇〇九年に起きた新型インフルエンザは世界中で大きな流行を起こしましたが、このウイルスはもともと北米のブタの間で流行していたウイルスが変化して出現してきたものです。二〇〇九年の二月にはすでにメキシコで流行が起きていたと考えられていますが、新しいウイルスであることが確認されたのは四月の下旬でした。その後、五月中旬までには世界中の多くの国にウイルスが広がりました。 日常生活で心がけたい感染対策 新型インフルエンザだけでなく季節性インフルエンザでも毎年多くの人が死亡しており、インフルエンザは決してあなどってはいけない感染症です。インフルエンザを予防するために最も有効なのはワクチンです。ワクチンを接種しても百%感染が防げるわけではありませんが、ある程度感染を予防するのに有効ですし、罹ってしまった場合にも重症化し死亡するリスクを下げる効果が十分にあることはわかっています。 |
押谷 仁(おしたに ひとし) |