春の訪れとともに、星空も冬から春に入れ替わります。日没後、西の空に冬の星座が残っていますが、東の空から春の星座が星空に広がります。北東の空高く駆け上がってきたのがおおぐま(大熊)座・北斗七星、東北大学のシンボルになっている星です。写真の位置の北斗七星がデザイン化され、現在、いくつかの部局のロゴマークとして使用されています。 一九〇七年に東北大学が創設されたとき、お祝いの歌に東北大学を天の中心にある北極星を指し示す北斗七星になぞらえて、東北の星とたたえました。北斗七星には、北極星のような不動の真理を求め、広く人々の道しるべになろうとする東北大学の理念が象徴されています。 おおぐま座付近は天の川から最も離れた位置にあり、天の川のガスや塵に邪魔されず、銀河系の外の宇宙を観測するのに適しています。東北大学理学研究科でも、ハワイ・マウナケア山頂のすばる望遠鏡を利用してこの方向の遠方の宇宙の研究が行われています。 「わが宿は、大熊星座。大熊星座の星々は、やさしくささやきささめいていた」(「わが放浪」中原中也訳より)。フランスの詩人アルチュール・ランボーの詩の一節ですが、私が東北大学に入学し故郷を遠く離れて仙台に来たとき、おおぐま座・北斗七星がこの詩のように静かに歓迎してくれました。 |
東北大学名誉教授、仙台市天文台台長 |
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