懐かしい学生生活―――――――――――――――――――― 私が東北大学理学部化学系に入学したのが1994年、それからあっという間に4年間の学生生活が過ぎ去りました。授業の出席・授業などの単位取得、クラブ活動、学食のカレーライス、アルバイト、テレビゲームに明け暮れる日々でした。私にとっての東北大学は、教育を受ける場所というよりは、時間・場所・友人・食事を提供する生活環境そのものでした。 生まれが1975年で、私は団塊ジュニア世代に属します。激しい大学の入試競争、そして不況による厳しい就職競争を強いられたことから不運の世代とも呼ばれています。一方、この世代はファミコン世代とも呼ばれます。仙台で一人暮らしをはじめた時に、プレイステーション(家庭用テレビゲーム機。技術進歩に大きく貢献したことから、2005年9月に米国でEmmy Awardを受賞)が発売されました。3Dポリゴン処理や、当時としては高画質な動画再生に大いに驚いた記憶があります。とにかくこのゲーム機で遊びました。友達と徹夜で遊び、ハイスコアを競いあいました。このような非生産的な時間をタップリ楽しめるのは大学生の特権だと思います。 高校生へのメッセージ―――――――――――――――――――― 学生時代の興味というものが、将来どのように役に立つかは全く予測できないものです。私の場合、ゲーム好きが興じて、今では自らゲームプログラムを開発しています。現在は大学院理学研究科で化学の研究を続けながら、将棋プログラムボナンザ(Bonanza スペイン語で「快晴・成功」の意)の作成にも取り組んでいます。思考アルゴリズムの作成には、化学の研究で得た知識がふんだんに生かされています。2007年3月には、渡辺明竜王とのハンデなしの平手の対局が組まれました(大和証券杯特別対局)。公の場で、コンピューターがタイトル保持者とハンデなしの平手で対局するのは初めてのことです。竜王は、「人間では発想できない良手を指し中盤で意外な強さ」と、この対局を自身のブログで振り返っています。この対戦内容は、全国版のテレビニュースや新聞にも取り上げられました。 最近の若者の姿と言えば、携帯メールを半永久的に打ち続ける光景が印象的です。しかも、授業のレポートも1000字程度であれば携帯メールで提出する猛者がいるようです。小さな画面と入力キーで莫大な量の文字列を通信し合い、多彩な機能を片手間で使いこなす姿を見て、ただただ驚くばかりです。巷では携帯依存症などと問題視されることもあるようです。しかし、このような能力も、きっと将来何かの役に立つはずです! これから学生生活を送る人々には、自由に経験を積み、大いに学びを深めていくことを願います。 |