新総長メッセージ|東北大学百周年記念事業推進による一層の地域融合化へ
東北大学総長 井上 明久
 

 2006年11月、吉本高志先生の後任としまして、第20代東北大学総長に就任いたしました。みなさまよろしくお願いいたします。
 さて、本誌「まなびの杜」は、地域のみなさまに東北大学のさまざまな活動をご紹介し、東北大学を身近にご理解いただけるように、教授陣が中心となって心を砕いて編集している小冊子です。年4回の発行ではありますが、今後も市民のみなさまのご期待に応えられる情報の発信をめざして、編集を進めていきたいと考えております。
 ところで、東北大学は1907(明治40)年に創立され、本年で百周年を迎えることになります。また、みなさまご承知のように、東北大学は2004年4月に法人化され、国立大学法人東北大学として再発足しました。この法人化という大改革の時期と百周年が期せずして遭遇した機会を捉えて、百周年記念事業を、これから100年の未来を見据えて、持続ある発展を遂げるための基盤作りに活用すべきであるとの考えに至りました。
 この記念事業として以下の4事業が計画され、すでに実行されつつあります。

(1)東北大学基金の創設
(2)百周年記念会館の整備
(3)『東北大学百年史』の刊行
(4)百周年記念催事の挙行

 これらの4事業の中で、特に百周年記念会館の整備は、50周年記念時に建造された東北大学記念講堂と松下会館を全面改修して、約1200席規模のコンサートホール(国際会議などにも使用可能)、学術ギャラリー、ファカルティクラブ(同窓会館としても使用)を作るというものです。
 プロ野球団・東北楽天ゴールデンイーグルスのチームアドバイザーを現在務めるマーティ・キーナート氏からいただいた東北大学の将来像に関する助言の中に、「東北大学を世界トップレベルの魅力ある大学に発展させるためには、研究中心大学としての研究教育の質の向上に向けた種々な施策の外に、文化・芸術・スポーツ面で在校生や同窓生を交えて充実を図ることが必要である」との指摘があります。また、法人化に伴い、新しい組織体として教員・職員のみならず、在校生・同窓生・地域の人々と連携して、「イコールパートナー精神」の下で発展を図っていくことが重要であると考えます。
 このような考え方を踏まえて、質の高いコンサートホールへの整備を進め、学生はもとより地域の人々の主催による様々なイベント、さらに専門家によるコンサートや演劇を本ホールで開催し、豊かな文化・芸術活動を介して本学の職員、学生ならびに同窓生と地域の人々が一体感を共有できる環境と機会を提供することは、東北大学の今後の100年の発展を考える上で極めて重要であると考えています。また、学術ギャラリーは、東北大学の伝統ある優れた研究教育の成果や社会貢献の実績を地域の人々に理解していただく、絶好の場を提供するものと確信しています。
 百周年記念会館の利用を通して仙台市民をはじめ宮城県、東北地域の人々が東北大学への理解と、身近な存在としての一体感を深めていただき、また愛着や誇りをともに共有していただき、東北大学百周年記念事業推進を契機に、より一層本学が地域と融合して、仙台の文化的香りの高い「国際学術都市」としての発展に貢献出来ればと念願いたしています。

コミュニティビジョン検討委員会(仙台市提供)
2008年3月完成予定の東北大学百周年記念会館
コンサートホール内部のイラスト図

 

いのうえ あきひさ

1947年生まれ
東北大学総長
専門:非平衡材料学、ガラス金属材料学
   金属過冷却液体制御学

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