アニマルシリーズ 3

ヒツジ

 本学農学研究科は仙台市の市街地にありますが、構内の動物飼育施設ではのんびりと草を食むヒツジの姿を見ることができます。群れを作って行動する穏やかな性格とふわふわとした外見から「癒し系」としても人気のあるヒツジは、8千年以上も前から人間と長い付き合いのある動物です。1997年、ヒツジの「ドリー」が哺乳類として初めての体細胞クローン動物として誕生し、世界中の話題となりました。ヒツジが近年のアニマルサイエンスの発展における新たな扉を開いたとも言えます。
 現在、世界中では十億頭を越すヒツジが飼われています。日本でも50年前には約百万頭もヒツジが飼育されていましたが、羊毛の生産が下火になるにつれて激減し、現在では1万頭程度となっています。ヒツジのミルクは飲用乳を生産する動物の中では最も固形分が多いミルクであることが知られ、ヒツジ乳で作られるチーズでは青カビのロックフォール・チーズが有名です。また、ジンギスカン料理の名で親しまれているヒツジ肉には体脂肪を減らす働きを持つ物質「カルニチン」が多く含まれているため、ダイエット食品としても注目を集めています。
 青空に放牧されたかのように浮かぶヒツジ雲は俳句の秋の季語でもあります。空を眺めながら一句ひねってみてはいかが。

東北大学は2007年に
創立百周年を迎えます

(東北大学大学院農学研究科 渡邊康一・山口高弘)