まなびの杜41号
 

各時代ごとの東北大学の学生像

「新制大学」幕開けの世代
ー第一教養部 粟野観音の前で/昭和25年(1950)11月29日ー

 1949(昭和24)年、新制東北大学が発足。包摂諸学校から引き継いだ4つの校舎を使って、第1・第2・第3・教育の各教養部が設置されました。写真の舞台は、その一つである三神峯地区の「第一教養部」。ここでは旧制第二高等学校から引き継いだ校舎や教師による教育が行われ、旧制高校の文化の香りが強く漂っていました。正面玄関の上には、現在も学友会の運動部などで使われている、旧制二高の校章である蜂章が見えます。学生たちの中心にいる仏像は、現在は農学部構内(旧二高北六番丁校舎)に鎮座している通称「粟野観音」で、旧制二高の名物教授であった粟野健次郎教授の退官に際し作られたものです。
 写真に写る学生たちは、第一教養部から文学部に進む二回生の学生たち。戦前以来の大学生の定番である角帽の男子学生のなかに、女子学生の姿も目立ちます。この頃の女子学生の入学者数は、一回生で1300人中39人、二回生で1421人中70人。日本の大学で最も早く女子入学を認めた東北大学でも、戦前の入学者数は20人を超えることはありませんでした。今から見ればごく僅かな数でも、当時としては大きな変化だったのです。
 ついこの間までは男子学生だけの場所であった旧制高校の校舎前で、新制大学の男女学生が並ぶ記念写真。新しい時代の幕開けを象徴する学生たちの1シーンです。

東北大学史料館 永田 英明
 
創立100周年
 
東北大学は2007年に
創立百周年を迎えます