川内南キャンパスを上空から見ると、青葉山丘陵の裾が南西に弧を描いているのがわかります。この弧のところに植物園の津田記念館、ヤナギ館、本館、そして前庭の芝地があるのですが、その背後にひときわ高い杉の木が並んでいます。これが二の丸の杉並木です。これは二の丸を取り囲むように丘陵の山裾に植えられたもので、現在でも20本ほどが残っています。幹の直径が1〜1.5メートル、樹高は40から45メートルにもなる巨大なものです。
 1966年に落雷でこのうちの一本が倒れ、その幹の円盤が植物園ロビーに展示してあります。直径1メートル、樹齢330年なので中心はちょうど1636年、伊達政宗公が亡くなった年です。樹齢11年めのところで年輪成長がカクンと落ちていることから、1647年頃、直径13センチくらいの若木を植えたのではないかと推測されます。そうすると今も残る巨木は樹齢370年くらい。この間、二の丸時代、陸軍、米軍、川内キャンパスと移りかわってきた様を静かに眺めてきたことでしょう。そして、これからも何世紀にもわたってこの地を見守ってくれることを願わずにはおれません。

鈴木 三男
(理学研究科附属植物園長)
http://www.biology.tohoku.ac.jp/garden/


 

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『まなびの杜』をご希望の方は各キャンパス(片平、川内、青葉山、星陵、雨宮)の警務員室、附属図書館、総合学術博物館、理学研究科附属植物園、病院の待合室などで手に入れることができますので、ご利用ください。
無断転載を禁じます。
『まなびの杜』は3月、6月、9月、12月各月月末に発行する予定です。
『まなびの杜』編集委員会委員(五十音順)
伊藤 弘昌 今井 勉 内山 勝 岡野 章一
齋藤 忠夫 田邊 いづみ 仁田 新一
藤井 建人 松原 洋一 山添 康
東北大学広報・情報部広報課
宇部 義彦 菅原 公美子
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編集後記

 東北大学のキャンパス移転と、それに伴う片平地区の再開発は、しばしば新聞でも取り上げられています。大学のキャンパスは、つねにそれを取り巻く街並みとともに発展してきました。以前の片平周辺は、大学の学生や教職員とかかわりの深い書籍店や飲食店などが学生街を形作ってきましたが、最近その衰退は著しいようです。一方、青葉山地区はすばらしい自然に恵まれているものの、文化的な周辺環境に乏しいのが現状です。
 欧米の大学を訪ねると、キャンパスを取り巻く文化的環境に圧倒されます。私が数年過ごした米国東部のエール大学でも、大学構内とニューヘヴンの街並みが渾然一体となり、学生や教職員が集う書店、飲食店、レコード店、衣服店(J. Pressは、エール大学が育てたファッションです)などが活況を呈しています。芸術系の学部があるせいか、音楽、演劇、映画、絵画が街にあふれ、その文化の薫り高い雰囲気の中で学生が育ち、研究が続けられています。わが国でも、東京大学の本郷界隈や京都大学には明治以来の学生文化の伝統を感じ取ることができます。東北大学がキャンパスと周辺の街づくりをどのように創造していくべきか、市民の方と共に語らっていきたいものです。

『まなびの杜』編集委員会委員 松原洋一


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