「とんでもないこと」を
「とんでもあること」にすること

Message from OB

OBからのメッセージ
 私の中の「東北大」

赤祖父 俊一=文


  「とんでもない」ということは「常識にはずれている」ということです。ところが、科学の進歩とは「常識を打破する」こと、すなわち「とんでもない」ことを「とんでもあること」にすることです。専門語ではこれを「パラダイム変換」と言います。パラダイムとは、科学の世界では科学者の間で固く信じられている理論のことです。この言葉は現在、政治、経済、社会問題を論じるときにも使われています。一般市民の言葉を使えば「常識になっていること」です。
 一例は皆さんが地震に関係しておなじみのプレート・テクトニックスですが、現在多くの固体地球の現象についてこの概念を基礎にして理解しようとしています。実は戦前では、陸が上下運動をすると考えることですべての現象を説明できるとするパラダイムがあり、大陸が移動するという考えは「馬鹿げているのもはなはだしい」ということでした。
 日本の地球物理学者で大陸移動を固く信じていたのは、東北大学地球物理教室の故中村左右衛門太郎教授だけであったかもしれません。私が学生であった当時(1950年代初期)、大陸移動説を信ずると発表することは地球物理学者の自殺行為とされていました。しかし、中村教授はこれにひるまず、すばらしい大陸移動説の講義をして下さいました。今でも忘れられません。戦後、プレートに乗った大陸が移動することは観測によって証明されました。(といっても、プレートを動かす原動力は現在迷宮入りの感がしないでもありません)。

  科学の進歩とは、それぞれの分野での常識、すなわちパラダイムが打ち破られ、科学革命、すなわちパラダイム変換を起こすことです。過去の成功である常識となったものに固執し甘んじる学問や、企業、国家の中で安楽にしていると、パラダイム変換について行けず、取り返しのつかない遅れをとるものです。そんな例は、身の回りにありあまる程存在します。実際は「ついて行く」のでなく、自分からパラダイム変換を起こして、学問、企業、国家をリードしていってこそ指導的立場に立てるのです。
 当然、常識を破るのは容易ではありません。それは、現在のパラダイムを信ずる大多数の同僚に己の信じていることを表明し、納得させなければなりません。先賢を時には学問的に踏み倒して進まなければなりません。先賢も自分の若者であった時代を思い出せばこそ、後輩を激励できます。東北大学には、その伝統があるのです。

赤祖父 俊一

1930年生まれ
1953年 東北大学理学部卒業
アラスカ大学国際北極圏 研究センター所長、理学博士




“風の船乗り(Windnauts)”たち


「鳥人間コンテスト」で
東北大学Windnauts
三位入賞

 2003年7月25日(金)〜27日(日)にわたって琵琶湖で開催された読売テレビ主催「第27回鳥人間コンテスト」において、東北大学の学生サークルWindnauts(ウインドノーツ)が、人力プロペラ部門で昨年に引き続き三位に入賞しました。記録は24823.01m、昨年をさらに上回りました。
 Windnautsは1993年、「鳥人間コンテスト」に出場することを目的に学部1年生3人から始まったサークルです。4度目の挑戦で初出場の切符を手にしながら、当日台風の直撃をうけ、コンテストそのものが中止になるなどの苦節を乗り越えて、今では同コンテストの常連ともいうべきチームとなりました。


琵琶湖上空を舞う機体「Migra」

 毎年9月から来年出場分の機体の設計を始め、3月のコンテスト申し込みに備えています。メンバーは現在40名ほどですが、常時募集しております。
 設計担当の矢田さんが語る今後の目標は「優勝機体を作ること!」だそうです。これからのWindnautsの活躍をお見逃しなく!


http://ply.mech.tohoku.ac.jp/windnauts/

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